Dr.コーイチロー「真剣に飛ばしを考えてみた」No19
脳の機能。我々が改めて学んで理解することはエベレストへ登るのと同じ事、
Drコーイチローの培って来たものをうまく自分に置き換えて使うことが上達への最大の近道です。
興味のある方は座談会&ワークショップへご参加してみて下さい。
「今日も新しいチャンスがあります。」
飛ばしを真剣に考えてみた⑲
11192016
ヒューマンパフォーマンスの博士として、飛ばしを真剣に(まあ、いつだって真剣なんですけどね)考えるということは、どういうことか?
練習場で1時間ばかりボールを無闇に打ちっ放しているうちに、いい当たりが出てきて、時々飛ぶと言うことではありません。
また、ドライバーがなんとか打てるようになった結果、今まで打てていた番手が上手く打てなくなってしまった、などという事を引き起こすことでもありません。
皆さんが考えている「飛ばし」だって、まさかその場限りのパフォーマンスや、大きな弊害を伴う飛ばしではないのですよね?
シワ取りクリームを塗ったからって、明日の朝にシワが無くなることが無いのと同じように、寝ている間に英語の会話を聞いたからと言って、目が覚めたら英語が話せるようになどならないのと同じように、ゴルフにだって、魔法など存在しないのです。
全く悪癖を持っていない人でさえ、そうなのです。
これまで私の投稿を読まれている方は、習慣について、多少の認識はありますよね?
これまでのゴルフのインストラクションに於いては、人間の習慣の持つ特性など一切無視されてきたのですから、仕方のないことかもしれませんが、習慣と言うのは超便利な反面、超厄介者にもなるのです。
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そして、多くのゴルファーが実は悪癖を持っているのです。
それも結構致命的な悪癖なのです。
何故って?
それは簡単なこと。
既存のレッスン書に書かれていることは、表面上の形の説明と言う一面に於いてのみ成り立つ情報で、人間の機能に鑑みると、明らかに致命的な悪癖を構築する方法だからなのです。
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さて、既に存在している悪癖が致命的なモノだとしたら、その悪癖を良い習慣を確立することで、発現させないようにしない限り、効果を期待することはできないのです。
何度も言及していますが、人間の脳はとても優れた機能を持っています。
でも、時々「何で?」と思ってしまうような機能もあるのです。
一つの例が習慣の構築。つまり、繰り返し行うことをひとかたまりのパターンとして脳から効率よく指令を出せるようにする機能です。
でも、脳はその習慣の質の良し悪しを選んでくれないのです。
つまり、酷く見苦しいことでも、悪いことでも、辛いことでも、効果の期待できないことでも何でも、繰り返し実行すると習慣化してしまう。
おいおい、そんな素晴らしい機能なら、良いことだけを習慣化するフィルタを付けてくれよと思いますよね?
ても、残念ながら、バックスウィングの形を考えたり、どんな素晴らしい説明も部分の形や角度を言葉に置き換えて記憶したりしないと分からないとか、ボールをよく見て頭を止めて、肩を回さないと、上手く打てないとか、そんななんの効果もないどころか、マイナス面ばかりのことでも、やり続けることで「良いショットを打ちたい!」と思った途端に、脳から習慣として一挙に指令が身体に送られるのです。
悪癖をすでに持ってしまった人は、残念ながらその習慣を発現させないで正しい事を繰り返し実行しなければならないのです。
そして、それはすこぶる至難の業なのです。
正しいことを実行するという事は、技能的な難易度はこれまで皆さんがやっていたこととは比べ物にならないほど易しいのです。
でも、この元の悪癖を出さないというのが、とても高いハードルなのです。
そして、その高いハードルが一番最初にやってくるのです。
だから、とっかかりで「分かった」とか「出来た」なんて言っている様では、ハードルを飛ぶどころか、飛ぶ体勢にさえ入れていないという事なのです。
何せ習慣というのは、人間が無意識に効果的なことを上手くこなすために日々活用している機能なので、とてもパワフルなのです。
新しいことを真剣にやろうという思いを強く持って臨んでも、気を緩めると、気付かぬうちに、元の習慣に司られたことを繰り返してしまう。
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気付かぬうちってどれくらいかと言うと、練習場でボールを打っていて、2発目から元に戻ってしまうというくらい早く戻るのです。
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それでは、どれだけ練習に時間と努力を費やしても、なんの効果も引き出せないどころか、正しい考え方と、間違った動きがリンクした、新たな悪癖が出来上がってしまうのです。
もちろん本気で上達したい、本気で飛ばしたいと考えている人は、そんな結果を望んでいるわけは無いですよね?
問題は、真剣に上達したい、本気で飛ばせるようになりたいと願う気持ちに見合うだけの、方法論を選ぶ真剣さが無いということなのです。
或いは、正しい選択をするための、正しい情報、或いは、正しい知識が無いのではないだろうか?
巷には、とてもウマイ話がたくさん溢れているのです。
そして、それに簡単に食いつく。
きっとこれまでにも何度もそうした毒牙に罹って来ているだろうにも拘わらず、また新たな毒牙に罹るのです。
だから、私は皆さんが正しい情報を取捨選択するために必要な、基本的な知識を身に付けて欲しいと考えています。
そして、それを携えて、飛ばしだけでなく、総合的にレベルアップできるやり方を身に付けて欲しいと願っています。
これを御託ばかり並べてと思ってしまう人は、悪習慣から逃れることが一生できない人なのですよ!